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   危険な贈り物・・・香水 




香水には有害化学物質が含まれている 
           バレンタインデーに関連してグリーンピースが指摘


 グリーンピースが発表した報告によれば、香水を身体にふりかける行為は、体
内に浸透して長期的な害をおよぼす危険のある化学物質の曝露を意味する。グリ
ーンピースは、報告書「危険な香水」の中で、36種類もの世界的な有名ブラン
ド香水を分析した結果を示し、人工化学物質の存在を明らかにしている。なかで
も注目すべきは、フタル酸エステル類および合成ムスク類の存在だ。しかしなが
ら、法が整備されていないため、化粧品類その他の日用品に含まれる化学物質の
曝露から、我々消費者が身を守るすべはない。

 調査の対象となった香水のほとんどに、フタル酸エステル類および合成ムスク
類が含まれ、カルバンクラインの「エタニティ・フォー・ウーマン」や、ジャ
ン・ポール・ゴルチェの「ル・マール」からは、相当量のフタル酸ジエチルが検
出された。フタル酸ジエチルが皮膚からすばやく浸透して体内に分散すること、
そしてひとたび体内に侵入すれば、精子の遺伝子を傷つけたり、肺機能を低下さ
せる疑いのあるフタル酸モノエチルに変化することは、多くの研究が立証してい
る。
 合成ムスクについては、高濃度のニトロムスクおよび多環ムスクが、カルティ
エの「ベゼ・デュ・ドラゴン」、ザ・ボディ・ショップの「ホワイト・ムスク」
から検出された。合成ムスクは、身体組織に蓄積する可能性がある。最近の研究
では、ある種の合成ムスクが魚類、両生類、哺乳類におけるホルモンの情報伝達
システムに影響を与えることが証明された。このほか、他の有害化学物質の作用
を強める働きもある。

 グリーンピース・フランスの毒物キャンペーン責任者ヤニック・ヴィケール
は、こう呼びかける。「バレンタインデーに贈り物をするのは愛情の証しであっ
て、相手の健康を危険にさらすためではありません。香水はこの上なく魅力的な
贈り物ですが、その優美さの裏に、体内に蓄積された有害成分が、香水を愛用し
てくれる相手の内分泌をかく乱させる危険性があるのです。」しかも、それらの
成分が製品のパッケージに記載されることはほとんどないため、買い手側は避け
ようがない。

 この問題を、一部なりとも解決する鍵を握るのが、ヨーロッパにおける新化学
物質規制案(REACH)である。REACHは、化学産業に対して、有害な化学物質の使
用を段階的に減らし、より安全な物質に置き換える義務を負わせようというもの
だ。だが、化学産業の激しいロビイング活動や、現アメリカ政府によって、この
法案の審議は妨害されている。グリーンピースの見解では、REACHが有害化学物
質の真の防御となるには、代替物質への置き換えが不可欠である。それにより、
あらゆる有害化学物質について特性の評価が義務づけられ、可能なかぎり、より
安全な物質に置き換えられることになるからだ。「REACHにも、ぼくらの愛に
も、安全な未来が似合う。それは、危険な物質を強制的により安全なものに替え
てこそ、手に入れることができるのです。」と、ヤニックはしめくくる。



グリーンピースフランス、ニュースレター2005年2月号より



                          翻訳:東野曜子さん
                    
              東野曜子さんのホームページ:鮟鱇のひとりごと
                    http://www.jttk.zaq.ne.jp/ankou/




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