2000年11月14日
文部省御中
子どもの健康と環境を守る会
代表 黒嶋 惠
〒069-0842 北海道江別市大麻沢町23-4
シックスクールに関する要望
学校での有害化学物質の使用により、健康被害を受けるシックスクールの事例が、
増加しています。シックスクールの問題は、化学物質過敏症の子ども達だけの問題で
はなく、学校に通学する全ての子ども達の問題であります.
学校という現場では、保護者に知らされないまま、有害化学物質が何の疑いも持た
れず、子ども達の目の前で使われている現実があります。それが例え、中学の保健の
教科書(小学校では2002年度から有機溶剤の心身への影響を教える事になっていま
す。)に載っている物であってもです。
子ども達は、一日の大半を過ごす学校という場で、有害化学物質による危険に曝さ
れ、影響を受け続けているといえます。このような状態が続きますと、化学物質過敏
症、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、結膜炎などの持病がある子は、症状の増悪、健康
な子でさえ、いつ発症してもおかしくない状況にあると思われます。
シックスクールにより、登校できない子ども達が増えている今、そしてそういう子ども達
を増やさない為にも、子ども達の周りから有害化学物質を排除し、子ども達にとって、
安全な物を 使用して頂きたく、又、学校現場での理解、適切なる対応が出来るよう、
情報提供、ご指導を 速やかにお願い致します。
以上の事より、「子どもの健康と環境を守る会」では、以下の項目について強く要望致
しま す。
記
1.化学物質過敏症及びアレルギー疾患の児童・生徒並びに教職員の実態調査をし
て下さい。又、調査をする際には、チェックリストを作成し、行って下さい。(作成員
は、医師・患者 が参加する事)
2.新築、増改築及び学校独自の補修、備品の購入、設置の際には、ホルムアルデヒ
ド、VOC対策を十分に行って下さい。終了後の計測を義務づけ、濃度が高い場合
には、ベークアウト等減らす方策を必ず執ってください。安全を確認した後、子ども
を入れてください。
3.窓を開けられない時に、換気が不十分にならないように、換気設備(換気扇、空調
設備)の設置を義務付けて下さい。
4.ワックスの可塑剤は、環境ホルモンの疑いがあり、又、ワックスと称しているウレタ
ン塗装は、キシレンの含有量が多く、子どもにとって有害と思われます。必要性の
是非を御検討下さい。どうしても必要である場合は、安全な物を使用してください。
5.学校で使用する洗剤等(手洗い石鹸、ガラスクリーナー、トイレ洗浄剤、芳香・消
臭剤、食器用洗剤、住宅用洗剤)及び教材を購入・使用する際は、安全データー
シート、成分表等で、十分安全を確認して下さい。安全性が確認できなかった物に
関しては、安全な物へ速やかに替えてください。
6.教科書会社へ、有害化学物質の情報提供をして、授業で有害化学物質を使わな
くてすむように指導してください。(図工、美術、理科、科学、化学、技術家庭等)
7.学校行事等に使用する有害化学物質(ポスターカラー、ペイントスプレー缶、油性
マジック、有機溶剤接着剤)の使用を止め、安全な物へ切り替えて下さい。
8.発ガン性物質の疑いのあるパラジクロロベンゼン(トイレの消臭剤、家庭科室の
防虫剤)の使用禁止を通達してください。
9.プールは、塩素殺菌に頼らない方法を調査研究して下さい。
10.学校屋内外の農薬(防虫、殺虫、除草、防除)の使用を禁止して下さい。
11.2002年度からの新学習指導要領より、授業でのコンピューター活用に備え、各
学校で順次、パソコン設置の準備が行われていますが、パソコンから神経毒性で
あるリン酸トリフェニル(TPP)等が放出されている事が判明しており、子ども達に
影響のない状態で使用出来るよう研究指導して下さい。
12.児童・生徒に向けた環境保健教育の一環として、何が有害化学物質であるか、又
それは健康面においてどのように影響を及ぼす物なのかという事を教えて下さ
い。
13.学校現場が、速やかに対応出来るように、次の事を御検討下さい。
〇身近で使用する物の中で、何が有害化学物質であるか情報提供をして下さい。
〇理解、周知徹底をして頂くために、研修会、研究発表会等の勉強の機会を設け
て下さい。
以上の項目についての早急な対応をすると伴に、情報を公開して下さい。
これらの要望は化学物質過敏症の子どもだけの問題ではなく、全ての子ども達の
健康と環境の問題として宜しくお願い致します。
●関連通達(2001年1月29日)文部科学省
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