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2000年11月30日 
 北海道教育庁 教育長 鎌田昌市様
子どもの健康と環境を守る会 
代表  黒嶋 惠 
〒069-0842 江別市大麻沢町23-4 

シックスクールに関する要望
 
  学校での有害化学物質の使用により、健康被害を受けるシックスクールの事例が、
増加しています。シックスクールの問題は、化学物質過敏症の子ども達だけの問題で
はなく、学校に通学する全ての子ども達の問題であります。
  学校という現場では、保護者に知らされないまま、有害化学物質が何の疑いも持た
れず、子ども達の目の前で使われている現実があります。それが例え、中学の保健の
教科書(小学校では2002年度から有機溶剤の心身への影響を教える事になっていま
す。)に載っている物であってもです。
 子ども達は、一日の大半を過ごす学校という場で、有害化学物質による危険に曝さ
れ、影響を受け続けているといえます。このような状態が続きますと、化学物質過敏
症、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、結膜炎などの持病がある子は、症状の増悪、健康
な子でさえ、いつ発症してもおかしくない状況にあると思われます。
  シックスクールにより、登校できない子ども達が増えている今、そしてそういう子ども
達を増やさない為にも、子ども達の周りから有害化学物質を排除し、子ども達にとっ
て、安全な物を使用して頂きたく、又、学校現場での理解、適切なる対応が出来るよ
う、情報提供、ご指導を速やかにお願い致します。
 以上の事より、「子どもの健康と環境を守る会」では、以下の項目について強く要望致
します。



 1.化学物質過敏症及びアレルギー疾患の児童・生徒並びに教職員の実態調査をし
   て下さい。又、調査をする際には、チェックリストを作成し、行って下さい。(作成員
   は、医師・患者が参加する事)
 2.新築、増改築及び学校独自の補修、備品の購入、設置の際には、ホルムアルデ 
   ヒド、VOC対策を十分に行って下さい。終了後の計測を義務づけ、濃度が高い場
   合には、ベークアウト等減らす方策を必ず執ってください。安全を確認した後、子 
   どもを入れてください。  
 3.北海道においては、冬季間、窓が凍りつき、窓を開けられなくなる場合があり、換 
   気が不十分にならないように、外気を取り入れる換気システムの設置を義務付け
   て下さい。
 4.ワックスの可塑剤は、環境ホルモンの疑いがあり、又、ワックスと称しているウレ 
   タン塗装は、キシレンの含有量が多く、子どもにとって有害と思われます。必要性
   の是非を御検討下さい。どうしても必要である場合は、安全な物を使用してくださ 
   い。
 5.学校で使用する洗剤等(手洗い石鹸、ガラスクリーナー、トイレ洗浄剤、芳香・消 
   臭剤、食器用洗剤、住宅用洗剤)及び教材を購入・使用する際は、安全データー 
   シート、成分表等で、十分安全を確認して下さい。安全性が確認できなかった物 
   に関しては、安全な物へ速やかに替えてください。
 6.授業で使用された教材等で、子どもが健康被害を生じた場合、健康被害を起こ 
   す原因となった教材等の情報を収集し、速やかに文部省へ報告してください。文 
   部省に対して、教科書・教材会社への情報提供と安全な物への切り替えを指導 
   して頂けるよう、働きかけて下さい。 (図工、美術、理科、科学、化学、技術家庭 
   等)
 7.学校行事等に使用する有害化学物質(ポスターカラー、ペイントスプレー缶、油性
   マジック、有機溶剤接着剤)の使用を止め、安全な物へ切り替えるよう、各学校 
   へ通達して下さい。 
 8.発ガン性物質の疑いのあるパラジクロロベンゼン(トイレの消臭剤、家庭科室の 
   防虫剤)の使用禁止を通達してください。
 9.プールは、塩素殺菌に頼らない方法を調査研究して下さい。
10.学校屋内外の農薬(防虫、殺虫、除草、防除)の使用を禁止し、各学校へ通達し 
   て下さい。
11.2002年度からの新学習指導要領より、授業でのコンピューター活用に備え、各 
   学校で順次、パソコン設置の準備が行われていますが、パソコンから神経毒性で
   あるリン酸トリフェニル(TPP)等が放出されている事が判明しており、子ども達に 
   影響のない状態で使用出来るよう研究指導して下さい。
12.八王子の小学校で問題となった、PCB使用の蛍光灯の使用実態を調査し、使用 
   されていた場合は、速やかに安全な蛍光灯へ交換するよう各学校へ通達して下 
   さい。その際、廃棄についても十分安全性に配慮して下さい。
13.子ども達が教育の一環として利用する施設(宿泊、見学等)も学校と同じように安
   全性を確認するよう各学校に指導して下さい。
   また、子ども達が利用する北海道立の公共施設から速やかに、有害化学物質を 
   排除して下さい。
14.児童・生徒に向けた環境保健教育の一環として、何が有害化学物質であるか、 
   又それは健康面においてどのように影響を及ぼす物なのかという事を教えて下さ
   い。
15.学校現場が、速やかに対応出来るように、次の事を御検討下さい。
   〇身近で使用する物の中で、何が有害化学物質であるか情報提供をして下さい。
   〇理解、周知徹底をして頂くために、研修会、研究発表会等の勉強の機会を設け
     て下さい。

  以上の項目についての早急な対応をすると伴に、情報を公開して下さい。
  これらの要望は化学物質過敏症の子どもだけの問題ではなく、全ての子ども達の
  健康と環境の問題として宜しくお願い致します。







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