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平成14年4月30日 
江別市教育委員会
教育長  高橋 侃 様
子どもの健康と環境を守る会 
代表  黒嶋 惠 

「学校環境衛生の基準」改訂に伴う、シックスクール予防に関する要望

  当会では、子ども達に安全な学校教育環境を整えるべく様々な活動を行っております
が、江別市教育委員会におかれましては、日頃より、会の活動に御理解、御協力をいた
だき感謝しております。
  お陰様で、少しずつではありますが、有害化学物質と健康被害についての理解が深ま
り、学校現場でも対応策が進みつつあります。
  しかしながら、学校によって取り組み姿勢に差が生じており、保護者との十分な話し合
いが行われなかったり、春の教職員の移動に伴って対応が宙に浮いたままの学校もあ
ります。
  国は有害物質から国民の健康を守る方針を固め、この方針をうけて、厚生労働省、
国土交通省、文部科学省からは、有害化学物質の具体的な物質名、室内空気汚染濃
度の指針値、検査方法、定期的な計測義務などが提示されました。
  特に文部科学省は、平成13年1月29日付通達では、全児童生徒の健康・安全に配
慮しさらに通常の対応を取っていても症状が悪化する過敏症体質の子ども達に対して
は、より個別的な対応を取るよう明言しています。また、平成14年2月5日には「学校環
境衛生の基準」を改訂し、シックスクールの予防のため、一歩前進した内容を発表してお
ります。その特 徴の一つは、これまで建材、建築物のみを問題にしていた、いわゆる
「シックハウス」の概念 から、校舎内で使用される備品(机・椅子・コンピューター等)や
日用品(パラジクロロベンゼン=トイレボール)まで視野を広げ、「シックスクール」の概念
まで発展させた点にあります。
  この「学校環境衛生の基準」改訂を受けて、江別市教育委員会におかれましても、な
お一 層のシックスクール対策を進めていただけるものと信じております。
  各学校が足並みをそろえて、効率的に、シックスクール予防対策が進められますよ
う、下記の項目を要望いたします。




 1.「学校環境衛生の基準」改訂に伴い、教室等の空気環境の汚染検査測定が、計画 
  されている事と思います。検査機関名、実施時期、検査物質、実施方法を公開して 
  ください。また、検査結果をただちに公表してください。
 2.「学校環境衛生の基準」改訂で、新たに検査項目となった4物質である、ホルムア  
  ルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの成分が含有する製品の、学  
  校並びに教育関係施設での使用を禁止して下さい。
 3.厚生労働省により、毎年8物質ほどの有害化学物質が追加検討され、それぞれに 
  ついて指針値が示され、通達が出されています。これらの情報を的確に把握し、指 
  針値が示されている物質が成分として含有している製品を使用する場合は、必ず  
  室内空気汚染濃度測定の予算を組み、測定を実施してください。測定を実施できな 
  い場合は、安全確認ができませんので、他の安全な製品に変更してください。
 4.新年度ごとの健康調査の際には、全児童・生徒に対して化学物質過敏症及びアレ 
  ルギー疾患の実態調査をして下さい。また、教職員についても同じように健康調査 
  をしてください。
 5.北海道においては、冬季間、窓が凍りつき、窓を開けられなくなる場合があり、換気 
  が不十分にならないように、外気を取り入れる換気システムの設置を義務付けてく 
  ださい。
 6.ワックスは、学校で使用されている物の中でも特に、子ども達がアレルギー症状や 
  化学物質過敏症の症状の悪化を訴える頻度が多いものです。製品によっては、使 
  用成分の中に可塑剤として有害な有機リンが含まれているものもあり、これらが症 
  状悪化の要因になっています。危険性の大きいワックスを使用し続けることを再検 
  討し、塗らないことも選択肢の一つとしてお考えください。
 7.学校で使用する洗剤等(手洗い石鹸、ガラスクリーナー、トイレ洗浄剤、芳香・消臭 
  剤、食器用洗剤、住宅用洗剤)、及び教材を購入・使用する際は、安全データーシ  
  ート・成分表等で、十分安全を確認してください。安全性が確認できなかった物に関 
  しては、安全な物へ速やかに替えてください。
 8.授業で使用された教材等で、子どもが健康被害を生じた場合、健康被害を起こす  
  原因となった教材等の情報を収集し、速やかに北海道教育委員会へ報告してくださ 
  い。その際、文部科学省に対して、教科書・教材会社への情報提供と安全な物へ  
  の切り替えを指導して頂けるよう、働きかけてください。(図工、美術、理科、科学、  
  化学、技術家庭等)
 9.学校行事等に使用する有害化学物質(ポスターカラー、ペイントスプレー缶、油性マ 
  ジック、有機溶剤接着剤)の使用を止め、安全な物へ切り替えるよう、各学校へ通  
  達してください。
10.学校屋内外の農薬(防虫、殺虫、除草、防除)の使用を禁止し、各学校へ通達してく 
  ださい。
11.今年度から実施されるパソコン授業のために各学校に新しいパソコンが設置され、 
  すでに使用されていますが、パソコン本体から揮発する有害化学物質によって健康 
  被害を訴えた子どもが、数名確認されています。今後パソコン機種の入れ替えが  
  定期的に行われることと思われますので、その際は、新品の本体をそのまま学校  
  に搬入することはせず、メーカーにおいて充分揮発させ、安全確認後搬入するようメ
  ーカーに指示してください。
12.子ども達が教育の一環として利用する施設(宿泊、見学等)も学校と同じように安全 
  性を確認するよう各学校に指導して下さい。また、子ども達が利用する北海道立の 
  公共施設から速やかに、有害化学物質を排除して下さるよう北海道教育委員会に 
  働きかけてください。
13.児童・生徒に向けた環境保健教育の一環として、何が有害化学物質であるか、又  
  それは健康面においてどのように影響を及ぼす物なのかという事を教えてください。
14.学校現場が、速やかに対応出来るように、次の事を御検討ください。
  〇身近で使用する物の中で、何が有害化学物質であるか情報提供をしてください。
  〇理解、周知徹底をして頂くために、研修会、研究発表会等の勉強の機会を設けて 
    ください。

 以上の項目についての早急な対応をすると伴に、情報を公開してください。
 これらの要望は化学物質過敏症の子どもだけの問題ではなく、全ての子ども達の健康
と環境の問題として宜しくお願い致します。


「学校環境衛生の基準」の改訂について
(200.2.5報道発表)


 
                       
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