○○


化学物質
基礎知識
 厚生
 労働省
指針値対象物質と健康影響
指針値対象物質は国が認めた要注意物質。最低限知っておく

1
 ホルムアルデヒド
指針値 100μg/m3 (0.08ppm)
用途
尿素(ユリア)・メラミン・フェノール系等の合成樹脂や接着剤、防腐剤の原料
として、合板・パーティクルボード・壁紙用接着剤等に使用
性質
無色で刺激臭、常温ではガス体で水に溶ける(=ホルマリン)
健康
影響
短期
目の刺激、のどの炎症、目や鼻の刺激、流涙、呼吸器の不快感
長期
発ガン性(IARC・2Aランク=恐らく発ガン性がある)

 トルエン
指針
260μg/m3 (0.07ppm)
用途
接着剤や塗料の溶剤・希釈剤など
性質
常温では可燃性の無色の液体。高揮発性。ガソリンのような臭い
健康
影響
短期
目や気道への刺激、精神錯乱・疲労・吐き気など中枢神経系への
影響、意識低下や不整脈
長期
頭痛・疲労・脱力感など神経症状、不整脈

 キシレン
指針値
870μg/m3 (0.20ppm)
用途
接着剤や塗料の溶剤・希釈剤など
性質
常温では可燃性の無色の液体。高揮発性。ガソリンのような臭い
健康
影響
短期
のどや目の刺激、頭痛、疲労、精神錯乱
長期
頭痛・不眠症・興奮などの精神症状

 パラジクロロベンゼン
指針値
240μg/m3 (0.04ppm)
用途
衣類の防虫剤、トイレの芳香剤など
性質
無色または白色の結晶。特有の刺激臭。常温で昇華し蒸気は底部に滞留
健康
影響
短期
目・皮膚・気道の刺激、肝臓・腎臓の機能低下・損傷
長期
肝臓・腎臓・肺への影響

 エチルベンゼン
指針値
3800μg/m3 (0.88ppm)
用途
接着剤や塗料の溶剤・希釈剤など。市販品のキシレンにも含まれる
性質
常温では可燃性の無色の液体。特有の芳香。高揮発性で低部に滞留
健康
影響
短期
のど・目の刺激、めまい・意識低下などの中枢神経系影響
長期
皮膚炎

 スチレン(モノマー)
指針値
220μg/m3 (0.05ppm)
用途
ポリスチレン樹脂(FRP防水等)・合成ゴムなどに含まれる高分子化合物の原料
性質
無色・黄色を帯びた常温では油状の液体。都市ガスのような臭い
健康
影響
短期
目・鼻・のどへの刺激、眠気、脱力感
長期
肺・中枢神経影響、眠気、めまい

 フタル酸ジ-n-ブチル
指針値
220μg/m3 (0.02ppm)
用途
塗料・顔料・接着剤・塩ビ製品の加工剤・可塑剤
性質
無色・黄色を帯びた常温では粘性の液体。独特の臭気。低部に滞留
健康
影響
短期
目・皮膚・気道への刺激、誤飲により吐き気・めまい・目の痛み・
流涙・結膜炎

 クロルピリホス
指針値
1μg/m3 (0.07ppb) 小児の場合 0.1μg/m3 (0.007ppb)
用途
防蟻剤
性質
無色の結晶。揮発性は低いが残効性が高い
健康
影響
短期
急性中毒で縮瞳・意識混濁・けいれん等の神経障害

 テトラデカン
指針値
330μg/m3(0.04ppm)
用途
塗料等の溶剤、灯油の揮発成分
性質
常温で無色透明な液体、石油臭。低揮発性
健康
影響
短期
高濃度で麻酔作用、皮膚の乾燥・角化・亀裂
長期
接触性皮膚炎

10
 ノナナール
指針値
41μg/m3 (7.0ppb) ※暫定値
用途
調合香料、防腐剤、柑橘系精油
性質
常温では無色の液体。フローラル様の強い香気、拡散性
健康
影響
中毒情報はほとんどなく、適量では抗炎症・鎮痛・鎮静作用があるといわれる

11
 フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
指針値
120μg/m3 (7.6ppb)
用途
壁紙・床材・各種フィルム・電線被覆などの可塑剤
性質
淡色で常温では粘性の液体。独特の臭気。低揮発性
健康
影響
短期
目・皮膚・気道に刺激、下痢など消化管への影響
長期
皮膚炎、内分泌かく乱性(環境ホルモン)の指摘あり

12
 ダイアジノン
指針値
0.29μg/m3 (0.02ppb)
用途
有機リン系殺虫剤、防蟻剤
性質
無色の常温ではやや粘性の液体。エステル臭、低揮発性
健康
影響
短期
重症の急性中毒で縮瞳・意識混濁・けいれんなどの神経障害

13
 アセトアルデヒド
指針値
48μg/m3 (0.03ppm)
用途
接着剤、防腐剤、写真現像用の薬品。喫煙でも発生
性質
刺激的な青臭いにおいがある無色の液体。二日酔いの原因物質のひとつ。薄い溶液では果実様の芳香。高揮発性
健康
影響
短期
蒸気は目・鼻・のどの刺激。目に侵入すると結膜炎や目のかすみ
長期
直接接触で発赤・皮膚炎、高濃度蒸気吸入で麻酔作用・意識混
濁・気管支炎・肺浮腫など

14
 フェノルカルブ
指針値
33μg/m3 (3.8ppb)
用途
防蟻剤(市販品はカプセル化で揮発防止)
性質
無色の結晶でわずかな芳香臭、常温での揮発は低く、低部に滞留
健康
影響
高濃度蒸気・粉塵の吸入でけん怠感・頭痛・めまい・悪心・嘔吐・腹痛などの中毒症状。重症で縮瞳・意識混濁など。皮膚への付着で紅斑、浮腫

 TVOC(トータルVOC)
指針値
400μg/m3 (暫定)
定 義
日本語では「総揮発性有機化合物」といい、一般的には室内濃度測定の際に検出された複数のVOCの濃度を合計した数値を指す    
目 的
室内に存在する数100種ものVOC全てに指針値を設けるのは不可能なこと、複数のVOCによる複合影響の評価は困難なことから、存在するVOCの総量に指針値を設け、トータルで削減を目指すのが目的
課 題
TVOCはまだ世界的に定義が固まっておらず、信頼性も国によって差がある。自然素材に含まれるテルペン類もカウントされているため、いわゆる自然住宅でも指針値を越える可能性がある
※厚生労働省資料に編集部で加筆     
新建ハウジング 「健康エコ建材・設備はやわかりガイドブック」より


トップへ
戻る