ピコ通信54号より
.「シックスクール調査」ご協力のお願い
子どもの健康と環境を守る会 代表 黒嶋 惠
◆第1回目の調査から2年経って
「子どもの健康と環境を守る会」は、主にシックスクール問題について活動して
いる団体です。前回のシックスクール症例集め(「『シックハウス連絡会・シックス
クール部」の呼びかけに当会も参加し、集計作業等を共同で行う)から早いもの
で2年の月日が経ちました。
この2年間で世の中のシックスクールに対する関心、国・自治体・学校等の認
識も2年前とは比べ物にならないくらい変わってきています。
そうは言うものの、シックスクールによる健康被害は、減るどころか逆に増えて
いるのはどうした事でしょうか。
昨年の1月・2月の『ピコ通信』第41号と第42号に書かせて頂いた「シックスク
ールの問題点(上・下)」の中で、私が問題点として挙げたものの内、何点が周知
徹底され改善されたのでしょうか。この1年間に報告された学校工事での被害例
の多さを見るとあまり変わっていないように感じます。被害例が増えた理由の一
つには、シックハウス・シックスクールの情報が多くなり、以前は学校工事と関連
付けて考えられることのなかった子どもの症状を、保護者が気付きやすくなった
事が考えられます。
◆化学物質の被害は誰にでも起きる
シックスクールは、個人の資質の問題で起きるかのように誤解している関係者
も未だ多いのです。しかし、学校工事での多数の子ども達の被害報告は、それを
否定するものであり、有害化学物質による被害は、誰にでも(教師にも)どの子に
も起こり得るものだと、これらを例にとっても言えるものです。
ところが、いつも予防策は取られず、事が起きてからの対応です。担当者のコ
メントは決まって「最善の注意を払って工事をしたのですが・・・」となります。最善
の注意・安全確認とは一体何なのでしょう。しかも問題のあったほとんどの工事
で、指針値の何倍も多く測定されたと発表されている物質は、厚生省(当時)よ
り、2000年に指針値が発表され、文部省(当時)からも通達されている物質です。
このことからも、有害化学物質を含有している材料を使用しても、測定濃度が
指針値をクリアさえすれば良い(「学校環境衛生の基準の改訂」後は、4物質の
測定だけで良いと誤解している)という工事関係者の意識が子どもの健康被害を
増やしている大きな原因と言えるのではないでしょうか。
子ども達を有害化学物質から守るためには、厚生労働省より指針値が発表さ
れている有害化学物質の含有していない材料を選択して工事を行うという予防策
が必要です。しかもこれは、指針値が示されているものが、有害化学物質の中の
ほんの一部であることを考えると「最低限の注意」でしかありません。
◆一番足りないのは子どもたちの実態情報
さらにシックスクール対策で不足しているもの、それはシックスクールとは何か
を知る為の情報です。その中でも一番不足しているのは、子ども達の学校での
実態、特に「学校で体調が悪くなる子どもの本当の姿を知らない事」に由来すると
考えられます。
また、有害化学物質に対する認識の甘さ・勉強不足・間違った思い込み等が
あるようにも思われるのです。例えば、塗料・ワックス等の溶剤を油性から水性
に替える事で有害化学物質の問題はなくなったかのように考える保護者・学校・
自治体・メーカーの対応は充分だといえるのでしょうか。
これらの点を考慮した結果、私達は、シックスクールの問題を全て洗い出さな
ければ、問題解決にはならないと考えました。そのため当会では、「シックスクー
ル調査」を全国的に展開し、子ども達の学校生活の実態を集約したいと思いま
す。ぜひ、「シックスクール調査」にご協力下さい。
◆シックスクール調査にご協力ください
「シックスクール調査(小・中・高・大学生用)」は、問題点を全て明らかにする
為に、設問の数が大変多くなっています。設問を追っていく事で問題点や対応を
考えなければならない事項が分かるように配置しておりますので、これからシック
スクール問題に取り組もうとお考えの方は、チェックリストとしても活用してみて下
さい。設問中に「2001年1月29日の文部科学省通達」・「学校環境衛生の基準の
改訂」等が出てきますが、シックスクール問題に取り組む時、必要不可欠の文書
ですので、末尾参照にてご確認下さい。
「シックスクール健康調査(2003年度就学予定児用)」では、「シックスクール調
査(小・中・高・大学生用)」の中の学校生活での設問を全て除き、有害化学物質
の影響を受けやすい子どもの人数把握という事で、健康面についての設問にな
っています。
2003年4月より集計作業に入り、データ等を集積し、冊子にまとめ発表する予
定です。シックスクール問題を予防する資料として、また要望・交渉する上での参
考資料として活用していただければと考えています。
なお、お寄せいただいた個人データは、「シックスクール調査」のみに使わせて
いただき、他の利用をしない事をお約束いたします。個人名を記入する事が不都
合のある方は、イニシャルにされても構いません。
「シックスクール調査」は、学校生活の中で有害化学物質などにより健康影響
を受けている(受ける可能性がある)2003年度就学予定児・小中高大学生が対
象になります。
「シックスクール調査」の調査書は、下記のホームページでもダウンロード出来
ますが、インターネットに接続できない方は、お送り致しますので、「シックスクー
ル調査(小・中・高・大学生用)」と「シックスクール健康調査(2003年度就学予定
児用)」の別、必要部数をお知らせ下さい。
2003年3月31日までに、必ず郵送にて「子どもの健康と環境を守る会」までお
送りください。記入される上で、不明な点・疑問点などがありましたら当会までお
問い合わせ下さい。ご協力とご支援をよろしくお願い致します。
*参照
・2001年1月29日の文部科学省通達
http://www.hokenkai.or.jp/1/1-3/1-31/1-31-31.html
・学校環境衛生の基準の改訂
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020202.htm
【問い合わせ先】
子どもの健康と環境を守る会
代表 黒嶋 惠
〒069-0842 北海道江別市大麻沢町23−4
TEL・FAX 011-387-1556
http://www.webone.ne.jp/~kodomo/
郵便振替口座番号 02790-9-59545
電話での問い合わせは、14時〜17時の時間帯にお願い致します。
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